成年後見制度とは判断能力がなくなった被後見人(本人)の財産管理などが適切に行われるように成年後見人をたて、被後見人(本人)の為に財産管理や契約の代理を行い支援する制度として導入されました。当初は被後見人(本人)の親族が成年後見人になる事がほとんどでしたが近年は親族以外の人に成年後見人になってもらうケースが増加しています。その背景には成年後見人となった親族による財産の使い込みです。最高裁判所の調べによると成年後見制度が開始されてから2年間で900件以上の被害、被害総額は80億円を超えるとのことです。報告されているだけでもその位あるのでそれ以上の被害が出ている事が予想されています。その成年後見人による使い込みの被害をなくす為に『後見制度支援信託』という制度が開始されました。
後見制度支援信託とは信託銀行などに信託することで、成年後見人による財産の使い込みを防ぐ制度です。
なお、信託する財産は金銭のみに限られ、ほとんどの信託銀行は最低1000万円が前提なので被後見人(本人)の貯金が1000万円以上ある場合の利用となります。
通常の預金で得られる利息は本当に微々たるものです。株式投資、投資信託はそんな利息よりもはるかに良い配当金、利回りが期待されます。しかし損失があることも覚悟しておかなければなりません。通常この後見制度支援信託の利用は後見人の選任と同時に、家庭裁判所から検討の必要があるかどうかも判断されます。こちらでは後見制度支援信託の利用の流れをご紹介いたします。
家庭裁判所へ後見人の申立を行った段階で、裁判所は後見支援制度信託の利用を検討する必要があるかどうかも判断します。もし必要な場合は弁護士、司法書士などの専門家に後見人がなる必要があります。また専門家と親族をどちらも後見人に選任して、それぞれ仕事の分担を割り振ることもあります。
家庭裁判所から選任された専門職後見人によって、後見制度支援信託の利用するか調査検討を行います。調査は本人の意思、親族関係、財産の種類、遺言書の有無などを確認し被後見人の財産が後見支援制度信託の利用をするべきかを調査していきます。
専門職後見人による調査後、後見支援制度信託の利用が妥当とされた場合は後見支援制度信託の利用が開始されます。また後見支援制度信託として預ける財産、日常で被後見人の生活に必要になってくるであろう財産の管理などもどうしていくか決めていきます。